世界の人口のうちの約0.25%しかいないユダヤ人ですが、ノーベル賞受賞者の約20%がユダヤ人であり、世界長者番付でも上位にはユダヤ人が多くいます。
そんな優秀なユダヤ人の根幹を作っていると言われているのが『タルムード』という書物で、タルムードの中にはお金や人生に関する哲学を学べる小噺が多数存在します。
今回はタルムードの中から「金の冠をかぶった雀」というお話を紹介します。
なお、タルムードはヘブライ語で書かれたもののみを聖典としているため、他の言語に翻訳されたものについては一部誤訳が入っている可能性があります。
今回の記事では日本語に翻訳された書籍である「ユダヤ人の成功哲学『タルムード』金言集」をもとに要約解説していきます。
あらかじめご了承ください。
金の冠をかぶった雀
ユダヤの最も有名な王と言われているソロモン王は鷲(わし)の背に乗って領国の隅々まで視察してまわっていたと言われています。
ある日ソロモン王が鷲の背に乗ってエルサレムから遥か彼方の領国を目指して飛んでいると、急に体調が悪くなり鷲の背から落ちそうになりました。
するとそれをみていた雀たちが何百羽と寄ってきてソロモン王が落ちないように体を支えました。
助けられたソロモン王はとても感謝し、
「お前たち雀になんでも欲しいものをあげよう」
と言いました。
それを聞いた雀たちは巣に戻って何をもらうか大議論しましたが、いつでも身を隠しておける葡萄畑、いつでも水が飲める池、いつでも食べ物に困らないように野原に穂を巻いてもらうなど、それぞれ勝手なことを言ってひとつにまとまりません。
そんな中ある雀が、
「ソロモン王と同じ冠をかぶって空を飛んだらさぞかし誇らしく、かっこいいだろう。」
といったところ、雀たち全員が賛成し意見がまとまりました。
そして雀の代表がソロモン王のところにいき、
「王様と同じ冠を雀たち全員にください。それが私たち全員の願いです。」
と言いました。
それを聞いたソロモン王は、
「それはあまり良い考えではないからもう一度考え直してみないか?」
と助言しましたが雀たちは、
「ぜひ王冠をください!」
と繰り返した。
そこまでいうのであればとソロモン王は雀たちの願いを叶え、金の冠をかぶった雀たちは嬉々として大空を飛びまわりました。
すると今まで雀に目もくれなかった猟師たちが金の冠目当てに雀を狩るようになりました。
雀たちはほとんどが討ち取られ、最後の5羽となってしまいました。
5羽は命からがらソロモン王の元に駆けつけ、
「私たちが間違っていました。金の冠はもういりません。」
といった。
雀から金の冠がなくなり少しずつ雀たちは平和を取り戻し、何年後かには元の数に戻りました。
金の冠をかぶった雀から学ぶこと
この物語は、力のないものが財産を見せびらかすと身を滅ぼすということを教えてくれます。
財産を築くときは安全に目立たず少しずつが基本であり、一度に多くの富を手にした場合は他の人に見せびらかさないことが大切というメッセージが込められていると考えられます。
書籍では雀たちに対して、空を飛ぶときに王冠を外すといったアドバイスがされています。
いずれにしても力のないものは、富を手にしても貧者のように振る舞うことが大切だと説いています。
私自身も貯金や投資で資産が増えるにつれて、今までは手が届かなかったが買えるようになったものが増えてきました。
定期的に物欲が強くなる時期があるのですが、そんなときにはこのお話の雀たちを思い出して身の丈にあったものなのか、また本当に必要なものなのかと自問自答するようにしています。
「ユダヤ人の成功哲学『タルムード』金言集」には他にもお金や人生における物語がいくつか紹介されています。
どれもためになるものばかりなので、ぜひ読んでみてください。