世界の人口のうちの約0.25%しかいないユダヤ人ですが、ノーベル賞受賞者の約20%がユダヤ人であり、世界長者番付でも上位にはユダヤ人が多くいます。
そんな優秀なユダヤ人の根幹を作っていると言われているのが『タルムード』という書物で、タルムードの中にはお金や人生に関する哲学を学べる小噺が多数存在します。
今回はタルムードの中から『キツネと葡萄畑』というお話を紹介します。
前回の『難破船と3人の乗客』に続き、タルムードシリーズ第4弾です。
なお、タルムードはヘブライ語で書かれたもののみを聖典としているため、他の言語に翻訳されたものについては一部誤訳が入っている可能性があります。
今回の記事では日本語に翻訳された書籍である「ユダヤ人の成功哲学『タルムード』金言集」をもとに要約解説していきます。
あらかじめご了承ください。
キツネと葡萄畑
ある日キツネが葡萄畑の近くを通りかかった。
あまりに美味しそうなブドウがなっているので、畑に入ってとろうとしたが畑はしっかりと柵に囲まれていて、太ったキツネは柵の隙間を通り抜けることができません。
そこでキツネは野うさぎを捕まえるのをやめて、自分の巣穴で何日も空腹に耐えて痩せることにしました。
やっと柵の隙間を抜けられるくらいに痩せてきたので、フラフラになりながら巣穴から出て、ブドウ畑の柵を抜けブドウを食べた。
そのブドウがあまりに美味しかったため、キツネは夢中になりなっていたブドウを全部食べてしまった。
キツネが我に帰るとブドウでお腹がパンパンになり、通ってきた柵を通り抜けることができなくなっていることに気がついた。
このままでは自分の巣穴に変えることができないのでキツネはふたつの選択肢を考えた。
ひとつ目は食べたブドウを吐き出してお腹を元の大きさに戻すこと。
もうひとつは、猟師に見つかる危険を冒してブドウの木の間で痩せるのを待つことです。
キツネはどちらを選択するのでしょうか?
キツネと葡萄畑から学ぶこと
このお話は最後に読み手側に答えを問いかける形で終わっています。
物語に出てくるふたつの選択肢それぞれについてまずは考えてみます。
ひとつめの食べたブドウを吐き出すという選択ですが、この場合すぐに柵を抜けることができるので巣穴に帰ることができて命の危険は少ないですが、それまでの努力(柵を通り抜けるために空腹を我慢した時間など)が無駄になってしまいます。
もう一方は通れるようになるまで柵の中で身を隠すという選択肢ですが、この場合は食べたものやそれまでの努力は無駄になりませんが、猟師に見つかってしまい命を落とせば全てを失ってしまいます。
苦労して手に入れたものを捨てて逃げるのか、はたまた苦労して手に入れたものを失わないように粘るのか、それぞれのリスクを考えてどちらを取るのかを判断する必要がありますが、このお話は適正なリスクをとるという意味で別の選択肢が複数存在します。
そのためユダヤ人の母親はこのお話を子供に聞かせ、子供がどちらを選んでも首を横に振り、逆にあなたならどうするかを考えさせるそうです。
例えば、柵を通れるギリギリの量だけ食べるであったり、報酬を出して他の動物にとってもらうなどのやり方があります。
実はこの、報酬を出して他の動物にとってもらうというのはサブコントラクトというビジネスモデルであり、また他の人に真似できないようなやり方を構築していくことをブラックボックス化と言います。
ビジネスにおける重要な考え方を物語を通じて幼い頃から子供に考えさせるユダヤ人の教育には驚かされます。
私自身重要な局面においてどうしても与えられた選択肢から選びがちですが、その選択が適正なリスクをとっているのか、またその他の選択肢はないか常に考えて強欲になりすぎないようにする必要があると感じました。
ということで今回タルムードシリーズ第4弾となる『キツネと葡萄畑』をご紹介しました。
「ユダヤ人の成功哲学『タルムード』金言集」には他にもお金や人生における物語がいくつか紹介されています。
どれもためになるものばかりなので、ぜひ読んでみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました!